「じゃあ、また明日ね!」
夕暮れの前にナッツハウスを後にして、5人はほっとため息をついた。
「どうなるかと思ったけど…みんな、ありがとね」
控えめに言うのぞみに、4人はにっこりと笑顔で返す。
「もうちょっとだもんね!途中でバレるわけにはいかないよね」
「そうよ、のぞみさん」
「驚かせるって決めたんでしょ?私たちもできるだけ協力するから…頑張りましょ、のぞみ」
「そうですよ!頑張りましょ、のぞみさんっ」
囲うように笑顔が並ぶ。いつもなら嬉しいのに、今日はなんだか恥ずかしい…かな。
「…みんな…ありがとうっ」
その日の夜。
「…あら、随分進んだじゃない?」
「うんっ…もうちょっとだよっ」
リビングのソファーで格闘するのぞみに、お風呂上りの母親が興味しんしんで話しかけた。
「…ねえ…ちょっと気になってたんだけど、それって誰かのプレゼント?」
明らかにひるんだように、手先が…止まる。
「…え?」
「だってあなた、今までそういうのとかって黄色・白・ピンクのどれかだったじゃない。どうして今度はブルーなの?」
「それは…」
そこまで言って、のぞみの顔がぼっと赤くなった。
「…ははーん…」
「…なっ…によ!?お母さんには内緒だからね!」
「はいはい。…ふふっ」
そういえばかつては自分も同じようなことをやったなあ…と昔を懐かしく回顧しながら、顔を真っ赤にする娘を眺める。
「わかんないとこがあったら聞きなさいよ?」
「…大丈夫だよ!自分で出来るもん!!」
「はいはい、わかりました。あんまり無理するんじゃないわよー?」
リビングに一人残され、ふいをつかれたまま固まる。
手に持ったそれに顔をうずめることで顔を隠そうとしたが、それが何であるかを思い出して、また顔が熱くなってきた。
「…××」
自分の声にまた恥ずかしくなってきた。
どんな顔されるかなんてわかんない。今は顔を思い出すだけでもこんなに恥ずかしいなんて…。
しばらくしてから、のぞみはおそるおそる、自分の手元を見下ろした。
……出来上がりは、もうちょっと先。